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千葉県鋸南町の「健康まちづくり」事業

2016年05月18日
csij 【203. 市民研通信】

千葉県鋸南町の「健康まちづくり」事業
~「ポールdeウォーク大学2016 in きょなん」に参加して~

小林友依
(市民研「食の総合科学 研究会」世話人、管理栄養士)

PDFファイルはこちらから→csijnewsletter_035_kobayashi_201605.pdf

 千葉県鋸南町の認知症予防に重点を置いた介護予防の取り組みとその実績に注目が集まっています。評価すべき点は、行政が主導しているのではなく、住民と一体化した取り組みがなされているということ。ちなみに取り組みをされている方々の合言葉は「お金のない鋸南町」。笑ってはいけませんが、笑いを誘います。しかし、それは超高齢化社会、医療費問題等、笑えない現実を住民たち一人ひとりが真剣に向き合い、自分たちの生活をより良くするための合言葉なのかもしれません。

 鋸南町地域包括支援センターの櫻井好枝保健師は「2011年3月の震災が起きたあと、介護予防教室に参加している方に津波の恐れがあったのですが、避難しましたたかと聞いたところ、『足に自信がないから逃げなかった』と。なんのための予防教室をやっていたのだろう、自分の命を守れないのは良くないと思ったのがきっかけでした」と、ポールウォーキングとの出会いを語ってくださいました。

「ポールウォーキングとは、両手に専用の2本のポールを持つだけで始められる運動です。ポールを持つだけで姿勢が良くなることを実感でき、足腰が痛くても、着地するときにポールを同時につくことにより1本の足で支えるところをもう1本で支えることができるので、さらに安定して歩くことができます。
 長距離歩けなかったのが歩けるようになった、坂が上がれなかったのが上がれるようになった、買い物に行くにも医者に行くにもこれがあると楽に歩けるとス生活に取り入れることで、それらも可能になると声を聞きました。
 また足腰の負担を軽減しながら身体バランスや筋バランスの改善を図れたり、ポールの動かし方や歩幅を変化させるだけで運動量に強弱をつけられたりできる。それだけでなくスタイリッシュにみえるので見た目を気にされることもなく、年齢や性別を問わずに手軽に始められるのです。"○○ガール"などの言葉があるので、いずれは"ポールガール"などと言われるようになったら面白いですね。」

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 2016年3月5、6日の二日間、「ポールdeウォーク大学2016 in きょなん」に参加しました。これは超高齢化社会に向けた健康作りの意義と課題を学ぶことを目的とし、鋸南町、鎌倉市、伊達市の三地区が協力・連携し開催された健康交流イベントでした。

 鋸南町は海・山・花と自然に恵まれ、ウォーキングを楽しみながら季節ごとに変化する景色が楽しめる場所で、今回のイベントは、1日目は花を楽しめる「水仙ロード」を、2日目は海沿いを歩く「頼朝ロード」を、総勢30名ほどで歩きました。

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 コースは決まっていましたが歩く速度は異なるため、自己申請するか、あるいは鋸南町の健康体操に参加している方は保健師が活動量を確認するかして、班分けをしてスタートしました。インストラクターによるポールを活用したエクササイズ、ウォーキングやポールを使用しておこなう健康づくりの意味についての説明、鋸南町の方々からは町の歴史や植物の説明などが、ウォーキング中あるいは休息中に行われました。

 参加してちょっと残念だったことが一つあります。それはイベントを開催にあたり、スタッフは他の地域の方々で、鋸南町の若者は一人も参加していなかったことです。高齢者と若者の交流はお互いに学ぶことがあるだろうし、教育・福祉など生活に関わる多くのことを共同で行っていくきっかけにしていければ良いのに、と思いました。

 鋸南町では町独自の面白い取り組みをしています。その取り組みに参加している方々を「鋸南健幸隊」と呼んでいるのですが、当日のウォーキングでは鋸南健幸隊には3つの司令がありました。1つ目が「道案内として他地区と一緒に歩く」2つ目が「鋸南の見どころを道中に説明」3つ目が「自分が美味しいと思う地場のもの(例えば、おみやげとして)を紹介」。事前に町の歴史や植物などを調べた方もたくさんおられて、他地域の方が鋸南町を好きになるきっかけになったり、自分たちの町を見直すきっかけになったりしているな、と思いました。

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 鋸南健幸隊は、平成26年度に結成され、他からいらした方に案内ができるように講習を行っているようです。現在、主体は行政となっていますが、いずれ参加者が自主性を発揮して活動を自身で担っていけるようになることが目標とされています。イベント開催の際は準備の時から参加し、イベントの趣旨や流れ等を理解したうえでイベントを盛り上げていく、というやり方がとられています。
 
 また、福島県伊達市も面白い取り組みをしています。住民が健康で元気に幸せに暮らせる新しい都市モデル「Smart Wellness City(SWC)」構想に参加し、「健幸ポイント」の実証実験が行われています。健幸ポイントが貯まると商店街で使用できる商品券などと交換ができるそうです。参加したメンバーは活動量計を持っておられて、歩いた後に数値を確認しておられました。健康増進の意識付けができていることが素晴らしいと感じました。

 神奈川県鎌倉市ではポールウォーキング協会の本部があり、ポールウォーキングのよさを多くの方に伝えるためのイベントもさかんに行われ、コーチも多く有しています。鎌倉市は観光名所も多いので、ウォーキングする楽しみが増すと考えられます。

 ポールウォーキングは、手軽でありながら、体への負担を軽減しつつ運動量を無理なく増やすことができ、骨粗しょう症や認知症予防、廃用性症候群(※)予防等に役立てることができると実感をしました。

※入院などによって過度な安静状態が長期間続くことにより、筋肉がやせ衰えたり関節の動きが悪くなったりして、全身の身体能力や精神状態に悪影響をもたらす症状
 
市民研では「健康まちづくり」事業として、ポールウォーキングを取り入れたまち歩きなどの様々なイベントを計画しています。こうしたイベントによって、自分たちが生活しているまちの魅力を再認識し、健康について皆が笑顔で語れるようになるとよいな、と思っています。■

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