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【翻訳】アジアにおける炎症性腸疾患

2016年05月18日
csij 【203. 市民研通信】

アジアにおける炎症性腸疾患 
環境要因を明らかにする二度目のチャンス

Lindsey Konkel

翻訳:五島綾子、五島廉輔、上田昌文

原題: Inflammatory Bowel Disease in Asia: A Second Chance at Uncovering Environmental Factors

『環境健康展望』124巻3号A49、2016年3月
Environ Health Perspect, volume 124, issue 3, A30, March 2016

PDFファイルはこちらから→csijnewsletter_035_201605_goto_04.pdf

(著者について:Lindsey Konkelはニュージャージーを基盤にするジャーナリストで科学、健康そして環境について報告している。)


炎症性腸疾患(IBD)は西洋社会ではもはやありふれた病気になっているが、その原因は不明のままである。近年アジアにおけるその病気の劇的な増加に伴って(10年前の西洋における激烈な上昇を反映して)、研究者は新しい住民(移民など)に発現しているIBDへの環境原因物質の研究にもう一つの一撃をもたらしている。

Siew Ngが1990年代の初めロンドンで医薬品と胃腸病学を研究するためにマレーシアを離れたときには、炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease、IBD)は彼女の出身地であるペナンやアジアの多くで実際に存在しなかった。しかし2015年秋のたった一日で、彼女は香港のPrince of Wales病院で新しくクローン病と診断された4人の患者をみた。それはIBDにかかった患者が空から降ってきたように思えたと、Ng(The Chinese University of Hong Kong、胃腸科医)は述べている。

30年前にIBDにかかった患者は100万人に1人以下であった。IBDは医者がクローン病や潰瘍性大腸炎と呼ばれる関連した健康状態に用いる総括的な用語である。これら2種の免疫介在性疾病はしばしば手術を伴う慢性の胃腸炎に導く(過敏性腸管症候群は似た名前にも関わらず、別の非炎症性疾患である)。今日、香港でおおよそ10万人に3人が新しくIBDと診断されている。Ngらは香港でのIBDの劇的な増加に警告を呼びかけている。

多くの自己免疫疾患と同じようにIBDの原因は不明のままである。環境因子とは異なり、遺伝因子はたった一代の期間で入れ替わることはできない。それ故に遺伝子だけでは最近の非西洋諸国におけるIBDの上昇を説明できない。そして多くの慢性疾患のように、IBDは遺伝子と環境の複雑な組み合わせによる相互作用で、それは人の消化管を住み家とする微生物により調節されているように見える。

香港およびアジアの他の地域におけるIBDは最近の上昇にも関わらずその罹患率が一般住民の10万人毎に平均約500人である北アメリカ、ヨーロッパ、オーストラリア及びニュージーランドと比較すると、まだまれである。自己免疫性及び炎症性疾患の発生率は20世紀後半北ヨーロッパ、北アメリカの先進国で劇的に増加した。それは主にヨーロッパ系の白人の間で問題となるようであったが、人口統計学的様相は変わりつつある。......

【続きは上記PDFファイルファイルでお読みください】

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