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【翻訳】 健康に及ぼす熱さと寒さの厳しい影響の間で

2016年03月11日
csij 【203. 市民研通信】

健康に及ぼす熱さと寒さの厳しい影響の間で

Nate Seltenrich

『環境健康展望』(Environmental Health Perspectives) 123巻12号(2015年12月)より
翻訳: 五島廉輔・五島綾子・上田昌文

原題:Nate Seltenrich
"Between Extreme Health Effects of Heat and Cold"
Environmental Health Perspectives VOLUME 123 ISSUE 12 DECEMBER 2015 A275

著者について:Nate Selternrich 
Petaruma CAの科学と環境問題を取り扱う。 彼の業績はHigh Country News, Sierra など多数。

pdfはこちらから→csijnewsletter_034_goto_01_20160311


 来る数十年後に気候変動は世界規模で天候のパターンや気温に顕著な影響をもたらすと予想されている(文献1)。自然災害の中でしばしば最も致死的と見なされ増加しつつある熱波の傾向ほど(文献7,8),ヒトの健康を圧迫する多くの地球温暖化の道筋の中で明白なものはない(文献2,3,4,5,6)。そればかりか,近年,さらに未来にむけて順応しようと努力しているにもかかわらず(文献9,10),平均気温が上昇に向かうにつれて熱波の全般的な健康負荷は増大し厳しい熱による出来事が頻繁に厳しく長く続くようになってきた(文献11)。

 単発的な熱波が実際に発生する度に重大な健康リスクをもたらし,(新聞の)見出しを飾ってきた。一方,最近の研究ではもっと複雑でたぶん予想もされなかった気温と公衆衛生(Public Health)の関係が明らかになってきた。全体として熱い気候より寒い気候のときにはるかに多い死者を生ずることもわかってきた。個々の熱に関連した出来事を通して急増する熱さに関係する健康への影響効果とは違って寒さに関連する病気や死は年中頻発し,極端な低温でなくても起こり,一時的な寒さの後になって起こる事実によって隠されてきたからである(文献12,13)。
CDC(アメリカ合衆国病気の制御と予防センター,the Centers for Disease Control and Prevention of U.S.)は2006年から2010年にかけての気温に関連した死亡についての分析を行った。これによると,63%が寒気暴露であり,31%が熱気暴露であった。オーストラリアや英国では,1993年から2006年までの寒さに関係した死亡率は熱さに関係した死亡率をはるかに越えていた(文献14)。そして少なくとも今世紀末にはそうなるであろうと(文献15)。英国と米国の死者を7400万人と見積もった研究者は2015年5月に低温による死者が7.3%に対して高温によるそれは0.4%であり,その比は18対1以上の割合にまでのぼるという(文献16)。

 衛生医学と熱帯医学の研究機関であるロンドン校のAntonio Gasparrini は2015 年の研究を率いるリーダーであるが,彼の説明はこうだ。あなたたちは高暴露の状況にのみ焦点を当てようとしているが,ゆるやかな暴露の影響をしばしば理解していない(文献16)。何故ならば,高い暴露の方がさらに危険であるとは限らないからだ。我々はこの観点から気温と健康の関係を扱ってこなかったので,これらの結果は全く驚くべきことである。


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