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呼吸器系疾患は減らせるか ~大気汚染の変遷から読み解く~

2015年08月04日
csij 【203. 市民研通信】

第16回市民科学講座 講座記録
呼吸器系疾患は減らせるか ~大気汚染の変遷から読み解く

講師:嵯峨井 勝
  (つくば健康生活研究所代表、青森県立保健大学名誉教授、
   元国立環境研究所大気影響評価研究チーム総合研究官)

日 時:2015年5月9日(土)18:30~21:00
場 所:新アカデミー向丘 リクリエーションホール

PDFファイルはこちらから
講演の部csijnewsletter_031_sagai_20150724.pdf
質疑応答の部csijnewletter_031_sagai_questions_201507.pdf


(1)主催者のあいさつ

上田:今日は大気汚染のことをじっくり考えるということで、嵯峨井先生をお呼びしました。先生とは初対面なのですが、市民研には電磁界のことやナノテクのことを研究しているグループがあり、私も電磁界について記事を書いているのですが、どうも酸化ストレスが鍵になるのではないかと思ってきました。ただ、その関連の本は非常に難しく、筋が見えずに困っていたところ、権上さんから紹介された嵯峨井先生の本が、非常に良くまとまっていて、分かりやすかったのです。それで先生をお呼びしたいと考えました。ナノテクノロジーについて、ナノサイズの粒子が健康にどう影響するかということを調べていても、PM2.5などについて会員からの問い合わせが多かったのです。

大気汚染と言うと、1970年代の公害のことが思い浮かびますが、その後は東京都などの努力で相当の規制がなされて、もう大気汚染は良くなったのではないかと思っていました。しかし、それにもかかわらず、呼吸器の病気はどうも減っていないのではないか。呼吸して取り込む物質について、私達はよく知らないのではないかという気がしています。 二酸化窒素、カーボンブラック、オゾン、それらはサイズなのか化学的性質なのか、非常に複雑です。これらのことを正しくおさえておくべきではないか。中国のPM2.5問題についても、これからどういう規制をして、どうやって調査して、これから改善していくか、一般市民の間でも知っておくべきではないかということで、広範囲の話題になるのですが、これから基本からのお話を90分嵯峨井先生にうかがい、その後で、皆さんと質疑をしたいと思います。質疑の途中で映像製作会社「アイカム」社さんが作った『大気汚染の原点を見る』という映像も皆さんと見てみたいと思います。

(2)演者の自己紹介と資料の説明:

嵯峨井: 皆さんこんばんは。私は元国立環境研究所「大気影響評価研究チーム」の総合研究官という立場で、ディーゼル排ガスのあの黒いスス(DEP, PM2.5)が気管支喘息の原因物質であるという研究を行ったあと、青森県立保健大学に転出して9年間勤務し、2008年に定年退職し、つくば市に戻り、今は「つくば健康生活研究所」という名前だけの私設研究所・代表と名乗って細々と研究を続けている者でございます。

お話に先だって、最初に資料の説明ですが、白黒とカラーの2つの資料に沿ってお話します。最後にある論文は「日本衛生学会雑誌」という今月(2015年5月)中に発行になる雑誌に投稿した論文(Part 1)です。インターネットでどなたでも見られます。この論文には、今日の話の中心のPM2.5とは何か、どういう仕組みで体内に入って、どんなメカニズムで体に悪さをするのかを説明したあと、脳神経系に及ぼす影響を中心に Part 2 に紹介したものです。国内では環境庁などから様々なレビューが出されていますが、脳神経系に対する影響の紹介は全くないので、それを紹介しました。Part 2がこの論文の本体部分ですが、それは9月に出版される予定です。原稿はできていますので興味のある方にはお見せできます。

(3)最近、大気汚染は改善してきたのに喘息患者が増えるのはおかしいのか?

先ほど主催者の上田さんがおっしゃいましたように、大気汚染はずいぶん改善されて来たのに、喘息の患者さんはぜんぜん減っていない。むしろ増え続けています。タバコも喫煙率はどんどん減っているのに肺がんで死ぬ人は増えています。こういう問題が出たとき必ず、「タバコは肺がんの原因ではない」という人がいます。大気汚染についても「今の大気汚染と喘息は関係ない」と言いう人が出てきて、だから補償している法律も削ってしまえといいます。今日は、そういう意見は果たして正しいのか、ということをお話させていただきます。それと私のやった研究と、その結果を患者さんから求められて裁判で証言したのですが、法廷でどのようなやり取りがあり、どういう考え方に基づいて裁判所は患者さんの言い分を受け入れたのか、ということもお話させていただきたいと思います。

【続きは上記PDFファイルでお読み下さい】

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